BEHIND THE SCENT : NO.36 WILD HERB TONIC
地元の薬局の棚には、チョコレートでいっぱいになったハート型の箱や、カラフルなキャンディーの袋が並べられています。これは薬が苦手な子供たちにとって、次の楽しみを想像させることで時間が早く過ぎるようにと置かれたものです。また近頃では休日や週末など、to-Doリストをただこなしていく考えが一般的になっています。
私たちは2023年の新年を迎えて、くつろぎ、内省し、集中するセルフケアのルーティンを行う時間を積極的に確保するようにしました。今この瞬間を十分に堪能し、ありのままの環境に感謝して五感と繋がること。最新の香り「36 WILD HERB TONIC」は、このような落ち着きと集中の雰囲気を作り出すのに理想的な香りとして生まれました。生い茂ったハーブガーデンや森の果樹園を通り抜ける散歩道、また古代からの治療法にインスパイアされました。この万能薬のような香りは、あなたの五感を爽やかなグラウンディング効果へと調整し、あなたの持つオーラを回復へと導いてくれます。(グラウンディング効果 : 自分と地球を意図的に繋げて精神的なエネルギーと身体的なエネルギーのバランスをとること)

私たちは開発チームと、最新の香りやそこに秘められたインスパイアの背景について話をしました。

JADE : 開発マネージャー
1. 「36 WILD HERB TONIC」のような香りはどのようにして生まれたのか?
香りの開発は様々な方法から始めます。特定の香料や、その時気になる香料の組み合わせを試していく場合もあれば、個人的な記憶や特定の場所、70年代のような時代からイメージして組み立てていく場合もあります。どのような場合であっても香りを開発する上での目指すべき所は、その香りを私たち自信がどのように感じるか、また、その香りでお客様にどのような雰囲気を与えたいかを理解することです。
「36 WILD HERB TONIC」は私たちがアロマティックでハーバルな香りに惹かれ出していると気づいた時に生まれました。また、昨年「35 OJAI LAVENDER」を開発したことも、ハーブ系の香りについて考えるきっかけのひとつでした。私たちは、自然でありながら高級感があり、リアルだけど気高く、また癒しと寛大さを併せ持った香りを求めていました。それぞれの形や用途があるハーブはそのような変化をもたらす力があり、またそれこそが私たちがこの香りを通して伝えたかったことでした。
一度アイデアが降り立った後は、香りの専門家と協力して香りのプロファイルを作成していき、チームやお客様からの広範囲にわたるテストやフィードバックを受けます。また、思い描く写真やイメージを集め、視覚的に世界観を伝えることも大事なプロセスです。新しく香りをリリースする度、香りを感じればいつでもその世界に迷い込めるような、完璧に再現された小さな世界を作り上げることが私は大好きです。
2. 「36 WILD HERB TONIC」のインスピレーションに基づいて、どのように香料の成分(トップ、ミドル、ベース)を選択しましたか?
「36 WILD HERB TONIC」のようなコンセプトは、明確な香りの方向性があり、特定の材料を検討する際に少し意外性のある香料を入れたいと考えていました。例えばハーブの香りで例えると、香りのプロファイルでよく見かける素材のローズマリーやセージを思い浮かべると思います。そうした中タイムを香料として採用することは、『意外性』の面で最適でした。タイムは主に料理に使われる素材だと認知されており、多くに人にとってとても身近な植物だからです。加えて、タイムを香料の一つとして使用することは、ヘルスケアや栄養のコンセプト強化に繋がります。そうしてこれらが最終的に香りを嗅いだ時の『感情』へと繋がるのです!
通常、新しい香りのコンセプトの原料を選択するときは、次のように組み立てていきます。まず初めに、最初の構想の手助けになるような少し詳しい資料を手元に置いておきます。次に違う成分同士の組み合わせを試していくことで、どの成分の組み合わせが香りを強めたり弱めたりするのかの感覚を掴んでいき、最終的にコンセプトが形作られていきます。このようなコンセプトを作り上げるベースラインの香りには、共に協力している複数のフレグランスハウスが手助けになっています。私たちの手元にある資料では世界観を作り上げるのに限度があるため、パートナーシップを結んだ香りの専門家たちと協力してコンセプトを完成させていきます。彼らの香料に対する知識は膨大で、重要な専門的知識を持ち合わせているので、それぞれの香りをベストパフォーマンスへと導いてくれます。そうして厳しいテストの工程へと移り、何回も修正・調整を重ねて最終的に満足のいく結果が得られるまでテストを繰り返していきます。
3. 「36 WILD HERB TONIC」の好きなところは?
透明感と活力を与える最初のアロマティックな衝撃から、より落ち着いたトーンへ馴染んで行く余韻は、PFらしいフレグランススタイルを残しながらも新鮮味があり、ワクワクします。ハーブ系の香りとは思えないほどに驚くほど多彩で、嗅ぐたびに変わる香りの層の深さがとても気に入っています。それは自宅で森林浴をしているようで、間違いなく私の新しいお気に入りです!

KIM : 開発リーダー
1. 開発者の視点から、新しい香りを開発する上で最も大切にしていることは何ですか?
新しい香りを開発する上で大切にしていること
①幅広い人が楽しめる香りのプロファイル
②製品の香りの広がりとパフォーマンス
③製品の安全性
香りの調合を決定する前に、いくつかの段階でテストを行います。香りの強さを可視化し、実際に使用した私たちのスタッフからフィードバックを得て、その後結果を確認するため社内でも実施可能である広範囲な香りの広がりをテストする手法を編み出しました。また、様々な環境下でもプロファイルやパフォーマンスが変わることなく安定的であることを確認するために安全性のテストも施行します。そして最も大切であることは、私たちはもちろん、PFファンの皆さんが好きになれる香りであることです。私たちは皆さんのレビューやコメントを読んで、新しい香りの開発やテストをする際に参考にしています。
2. 新しい香りを開発する上で直面する課題は何ですか?また、それらをどのように対処しますか?
複数のアイテム展開がある香りを開発した際に、それぞれのフレグランスアイテムの香りが同じであると保証することが課題でした。アイテムによっては同じ香りでも異なる材料やオイルを必要とする場合があるため、香りのプロファイルがわずかに異なり、それによって一部のノートが他のものより強く香ってしまうことがあります。例えばお香の形状では、よりウッディで土のような香りを感じることができ、またリードディフューザーの場合では、より柑橘類や樟脳(カンファー)の香りを強く感じます。全てのアイテムが同じ香りであることを実現するために、広範なテストを行い、開発中にもスタッフからフィードバックを得ています。そこでもし1つでも期待通りでない製品があった場合には、必要に応じて修正を行います。
3. 「36 WILD HERB TONIC」の好きなところは?
「36 WILD HERB TONIC」は美しいほどに複雑で、クラシックラインの中で私のお気に入りの香りの1つになりました。心地の良い、大地を感じる壮大さがありながらも、明るく爽快な香りです。この香りを灯すたび、私は屋外のスパへと連れ出され、都市生活の慌ただしさから逃れて楽しいひと時を過ごすことができるのです。私の魂を惹きつけるハーバルでウッディな香りが本当に大好きです。