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特集企画
MY LOCAL POP UP
ローカルを愛するあの店に出かけよう!
日々の暮らしに発見と楽しみを届けてくれるローカルショップ。
街に明かりを灯し続けるようなそんなショップに、
私たちP.F.Candle Co.も日頃から共感と親しみを覚えます。
本企画ではそんなショップオーナーやバイヤーへの取材を通し、
お店のこだわりや、ローカルに対する想いなどを紹介します。
ショップでは期間限定ポップアップ・イベントも開催予定です。
ぜひインタビューを読んでから、お店に足を運んでみてください!

VOL.01
2024 SUMMER
TOKYO YAKUMO
millvalley (東京・八雲)
偶然のような必然の巡り合わせが詰まった、八雲通り商店街にたたずむ小さなお店の物語。

millvalley
ミルヴァレー
2017年、バッグやポーチなどのオリジナルブランド「millvalley」を手がけると同時に、東京・学芸大学に路面店をオープン。2023年秋には都立大学(八雲)へ移転。「OSAMU GOODS®︎」とのコラボシリーズも人気アイテムとして定番化。メーカーでのキャリアを活かした、他ブランドのOEM生産まで幅広く活躍する。
LAでの10年。東京での10年。
短大卒業後、2年間の就職期間を経て1997年に単身ロサンゼルスへ。1年間の語学学校、2年間のグラフィック学校を卒業後、現地で日系フリーペーパーを創刊する会社へスタートアップメンバーとして参加。DTPの業務を通してグラフィックの仕事を覚えていく。その後当時日本でも爆発的人気を誇ったプレミアムジーンズのブランドへと転職。ロサンゼルスでのキャリアも10年となるタイミングで、日本へ帰国。「東京で一度働いてみたい」という思いから、経験はなかったが代官山の雑貨メーカーに就職。企画の仕事に携わりながらOEM、ライセンス業務を学んでいく。
船谷さん: 短大で英語を専攻し、「アメリカに住んでみたい」という思いから1997年にアメリカの語学学校に留学しました。ロサンゼルスを選んだのは、日本に近いという理由のほかに、そのゆるい空気感に惹かれてでした。日本での2年間の就職生活で息苦しさも感じていたので、自分を受け入れてくれる街の雰囲気が、当時の自分には合っていたように思います。モントレーパークにある語学学校に1年ほど通い、その後は「何か手に職をつけないと生きていけない!」と思ってグラフィックの専門学校へ進みました。そして卒業後に、新しくスタートする日系のフリーパーパー会社に、スタートアップメンバーとして参加しました。DTPの仕事だったんですが、ここでグラフィックの世界へと足を踏み入れることになりました。
2000年代初期のロサンゼルスは物価も安く、街もとにかく楽しい空気感で、友人たちと街に繰り出しては、みんなでパーティーをよくしました。そんなパーティーの中で出会ったのが、今でもずっと仲の良い「KATSUO DESIGN」(*1)のユースケ君と、妻で「LOOKOUT&WONDERLAND」(*2)のデザイナー、ニッキーの夫婦です。もともとは別々に出会ったのですが、最終的に二人は夫婦に。ユースケ君にはmillvalleyの移転オープンに合わせてロゴを新しくデザインしてもらったり、ニッキーにはmillvalleyコラボでリネンシャツを染色してもらったり、今でも公私に渡って繋がり続けています。
先日来日していた「VIRGIL NORMAL」(*3)のシャーリー(*4)とも話してたんですが、あの頃あのバーやあのライブハウスによく行ってた!って話したら、「絶対に私たち同じバーですれ違ってたよね!」って意気投合して(笑)。みんな同じコミュニティにいたんだな、って。バーに遊びに行くだけでもみんなお洒落して、それを見るのも楽しみのひとつで。そこに集まるのは物作りしてる人や、アーティストや俳優やバンドマンなんかで。そうしてロサンゼルスのコミュニティと繋がりができていきました。
彼らは、例えば物作りしてる子がいるとして、「お店に置いて欲しいな」って思ったら、飛び込みで持ち込むんですよね。お店もお店で、「あ、良いね!」って思ったらそのまま置いてくれたりして。渡米前、日本の社会に合わせられなかった自分にとっては、そういう距離感、人と人が近いコミュニティがとても楽に感じました。そういう価値観に共感したことが最終的には10年間ロサンゼルスにいた理由だったと思います。

近所に暮らすロサンゼルス時代からの友人ご家族と。ちなみに息子さん着用のトップスは、船谷さんも大好きな『VIRGIL NORMAL』のもの。
船谷さん: 一方でロサンゼルスでの暮らしも10年になる頃、ロサンゼルスのゆるい空気感の中でずっと暮らすことに焦りも感じていました。「一度東京で働いてみよう、東京で暮らせたらどこだって暮らせるはず!」と思い、帰国を決意しました。業界経験はなかったのですが、代官山にある雑貨メーカーに就職しました。意外にもアメリカ時代の経験がここで役立つことになりました。アメリカ時代に知り合ったアーティストとコラボ企画をさせてくれたり、アメリカ出張も割りと自由に行かせてくれたので、向こうのコミュニティとはそのまま繋がり続けることができ、同時に日本での仕事に活かすことができました。
「OSAMU GOODS®︎」(*5)の企画もこの頃から始まりました。メーカー時代はOEM生産、ライセンス生産、コラボ企画などを担当していたのですが、オサムグッズもやりたいと企画提案し、させていただくことになりました。オサムグッズでかつて人気だったスクールバッグの復刻版を企画し、同時期に弥生美術館で開催された「原田治展」もあり、バッグはすぐに完売しました。こうした経緯もあり、その後独立した「millvalley」でも継続して企画をさせていただくことができました。
(*1) KATSUO DESIGN / カツオ・デザイン:LAを拠点に活動する日本人アーティスト。自身の作品のほかに、ACE HOTELのブランディング、アートディレクションを手がけるなど、活躍は多岐にわたる。
(*2) LOOKOUT&WONDERLAND / ルックアウト&ワンダーランド:LAを拠点に活動するクリエイティブスタジオ。ファウンダー、ニッキーによる草木染めが特徴。
(*3) VIRGIL NORMAL / ヴァージル・ノーマル:2015年にLA・シルバーレイク地区にチャーリーとシャーリーのふたりがオープンしたセレクトショップ。サブカルチャーとファッションを融合させた世界観と、LAローカルなマインドが熱狂的なファンを生み出している。
(*4) SHIRLEY KURATA / シャーリー・クラタ:LAを拠点に活動するスタイリスト兼衣装デザイナー。VIRGIL NORMALの活動と並行して、数多くのTVや映画、広告や雑誌などのスタイリングや衣装を手がける。アカデミー賞作品『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』の衣装デザインを手がけたことでも話題に。
(*5) OSAMU GOODS®︎/ オサムグッズ:イラストレーター原田 治さんによる人気オリジナルキャラクター。1976年の誕生以来、世代を超えて愛され続け、アメリカンレトロなデザインと、可愛らしいキャラクターがファンを魅了している。